5肢選択で「正しいもののみの組み合わせを選べ」のお話

どうもお久しぶりです。イザーク=マッチェリノです。

 

環境省の話、最後に「こんな素晴らしいことも技官はやってるんだからもっと頑張れ」ってシメようと思ったんですが、時間が相当経っちゃったんで一旦打ち止め。

 

閑話休題

 

さてこのイザーク、中世は錬金術師だったのですが、現代では公務員試験の模試を作る人もやっていたことがあるので、今日はその話。

公務員試験の一次試験はだいたいマークシートの五肢選択(国家系だと五枝、その他は五肢となぜか使ってる漢字が違うけどそんな細かいことはどうでもいいのだ)です。

そのなかでおなじみの形式なのが、「A~Dの記述のうち、正しいもののみを上げているものを選べ」というやつです。選択肢にはA~Dがそれぞれ2個ずつ書かれています。

こんな感じで。

 1:A、B

 2:A、C

 3:A、D

 4:B、C

 5:B、D

 

さて、ここで皆さん、あることにお気づきかと思います。

AとBは3回登場しているのに、CとDは2回しか登場していませんね。

それもそのはず、4つの中から2つ選ぶ選び方は、4C2=6、なのに選択肢は5個しかありません。

つまり、どうしたって組み合わせを1個落とさないといけないのです。

上の例では、CとDの組み合わせを落としています。そのため、CとDは2回しか登場していません。

 

では、ここからがテクニックになります。

それは、「3回登場するA・Bのうちどちらか1つが〇、2回登場するC・Dのうちどちらか1つが〇である可能性が高い」です。

 

なぜかを説明しましょう。

そもそも、出題者と回答者は次のような対立する意見の持ち主です。

出題者:A~Dすべての記述を検討し、正しいもののみを正確に選び取れる能力をみたい

解答者:できるだけ少なく記述を検討し、効率的に正解の肢を見つけたい

 

もし、AとBが〇であり、解答者が「3回登場するから」という選択肢の構造上の理由でAとBの肢を検討した結果、どちらも〇と正しく見抜いたとします。

すると、解答者は「2回しか登場しない」CとDを全く見ることなく、肢1が正解であると分ってしまいます。

出題者にとってはこれはダメです。できればA~D全ての「内容」を検討してほしいのに、解答者は選択肢の「構造」から、AとBのみを検討し、C、Dを全く見ずに正解を選んでいます。

 

では、出題者はどうすればより多くの記述に目を向けさせる(つまり、解答者を悩ませる)ことが出来るのか?

それはA、Bのうちから1つ、C、Dのうちから1つを〇にすることです。このようにするとどうなるか?

解答者は選択肢の「構造」からA、Bを検討したとします。そして、そのうちのどちらかが〇とわかったとします。

この場合、絞り込めた肢は2つ(Aが〇なら2or3、Bが〇なら4or5)です。そしてどちらにせよCかDのうちどちらかの検証に入らないと正解を見つけられません。

これならAとBの3回登場を2つとも正解にするより、より多くの記述の検討を解答者に強いることが出来ます。

 

つまり、「3回登場するA・Bのうちどちらか1つが〇、2回登場するC・Dのうちどちらか1つが〇である可能性が高い」となるわけです。

これを頭に入れておくと、この手の問題に出くわしたとき、やみくもに個別の記述の検討に入るまえに次の視点での検証ができるようになります。

・選択肢に3回登場のものと2回登場の記述はどれか(上の例ではA・B、C・Dだった)

・2回登場のうち、〇はどちらか(両方〇はあり得ない。両方×も確率が低い)

・3回登場のうち、×はどちらか(両方×はあり得ない。両方〇も確率が低い)

 

 

もちろん、出題者がそんなこと考えずに「3回登場をどちらも〇にする」というパターンもありますので、あくまでもテクニックということで。

 

ところで、「いやぁ、2択まではしぼりこめたんだけどね~」というよくあるコレ。実はA~Dの〇×をマトモに判断できたのが1個だけ、という場合がほとんどです。

 

CやDのような2回登場タイプのうち、どちらかが〇と分った場合、2択に絞り込めます。一方、2回登場タイプのどちらかが×と確実に判断できた場合、残りは3択です。「2択までは絞り込めた」の証言と矛盾します。

また、AやBのような、3回登場タイプのどちらかが確実に〇とわかった場合、残りは3択です。「2択まで絞り込めた」ではないので、この場合この人は3回登場タイプのうちどちらかが×と判断できたが、その他が判断できなかった、となります。

 

つまり、「2択まで絞り込めた」の場合、検討すべきA~Dの4つのうち、1マトモに分かったのが1個だけ、のこり3つが「判断がつかない」でも2択に絞り込めてしまいます。

解答者は「2/5まで絞り込めた!あと少しだった!」と思うかもしれないですが、その実「実際に判断がついているのは1/4だった」ということですね。